扇沢から爺ヶ岳へ歩き始めた針ノ木サーキット。
1日目は種池山荘・爺ヶ岳まで歩いてテント泊。
2日目は種池山荘から稜線を歩いて針ノ木小屋まで歩いていく。
種池山荘でテント泊をした翌日、日の出と同時に準備をして出発する。
2日目は種池山荘から稜線を歩いて針ノ木岳を目指していく最高のルート。
どんな絶景が待っているか、出発前から楽しみだった。
種池山荘のテント場は小屋から少し離れた場所にある。
稜線のテン場ではあるものの、木に囲まれているため風の影響を受けずに静かな夜を過ごすことができた。
出発からすぐに視界が開けて景色が広がる。
先に進む稜線が見えるけど、意外とアップダウンが続きそうなタフなルートだと想像ができる。
2,500M級の稜線は気持ちが良い。
振り返れば出発した種池山荘と、均等が取れた爺ヶ岳が見える。
先を見ると、針ノ木岳まで行くまではいくつかの山を超える必要がありそうだ。
気持ちのいいアップダウンをこなしていくと、ルート上の中間地点にあたる新越山荘に着いた。
絶景を楽しみながら、ゆっくり休憩を取る。
前夜に結露で濡れてしまったテントのフライを乾かしたり、休憩の時間も有意義に使っていく。
新越山荘から先は更に道が険しくなる。
針ノ木岳までは岩場も出てくる。
今回は持ってこなかったが、転倒・滑落を考えて登山用のヘルメットがあっても良いような道だ。
いくつかの山を超えて、いよいよ針ノ木岳が目の前に迫ってくる。
そんな時だった。
行く先の登山道の近くに黒い影が素早く動いていた。
「いやー、まさかな」と目を凝らして観察していると、明らかにそれは熊だった。
遠くから気がついたため、おそらく心配はいらないだろうと判断して、しばらく様子を見守る。
熊の近くに他の登山者がいたようで、熊は谷のほうへ降りていった。
熊騒動をやり過ごし、緊張感のある登山道を歩いていく。
針ノ木岳へ続くスバリ岳に到着する。白い岩峰が目の前に立ちはだかる。
スバリ岳に着いたころには15時ごろ。1日しっかり歩いてきた体は徐々に重たくなってきていた。
スバリ岳までに消耗した体には、針ノ木岳の最後の登り返しが堪える。
針ノ木岳さえ登れば、あとは小屋まで下るだけ、そう言い聞かせて黙々と歩いていく。
針ノ木岳の頂上に着いたときには、誰もいない貸し切りの状態だった。
あとは針ノ木小屋に降りるだけだ。
針ノ木小屋も稜線にある山小屋。
種池山荘とは違い、テント場も展望が開けている場所にある。
稜線にあるテント場のため、とにかく張れるテントの数が限られている。場所によっては斜めになっている下地もあるので要注意。
1日歩いた体に染み渡るのは生ビール。
山小屋で飲む生ビールが、この世で一番美味しいと思う。
この日は風が少し強くテントがバタつくこともあったが、しっかり眠ることができた。
最終日の3日目は、針ノ木大雪渓を降りて扇沢に戻る。
この「針ノ木サーキット」はスタートとゴールが同じ場所で、絶景を楽しみにながら周回できるルートは満足度が本当に高い。
常に変わり続ける景色やトレイル、個性豊かなそれぞれの山小屋。
北アルプスながらも比較的静かに山歩きを楽しめる針ノ木サーキットは、もしかしたら北アルプスのオアシス的な山なのかもしれない。
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